尾上五月先生インタビュー、大好評のうちにいよいよ最終回をむかえました。
これまで、
・日本文化の大切さ
・伝統文化を通じ心に磨きをかける
・日本舞踊を習う魅力
・キレイの秘密
など、数回にわたりお話をご紹介し、好評をいただいてきました。
さて、最後を締めくくる今回は、カラコロ読者の皆様に素敵な生き方のヒントを頂きました。
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尾上五月 オフィシャルブログ より
― 誰もが心がける事が出来るような、素敵な生き方のアドバイスがありましたら教えて下さい。
《五月さん談》
『ここに居場所がある』とか、『アイデンティティがそこにある』というのかな。
自分の居場所を見つける、アイデンティティをそこに持たせる、それがすごく大切な事だと思います。
いま、アイデンティティクライシスになっている方が多いですね。
例えば「〇〇さんの奥さん」、「〇〇ちゃんのお母さん」とは呼ばれますが、自分の名前そのものでは呼んでもらえない、という事がありますよね。
そうではなくて、ちゃんと自分の名前で「〇〇さん」って呼んでもらえるような居場所を持っているでしょうか?
私の場合は、お弟子さんが結婚しているかいないのか、お子さんがいるのかいないのか、
ご主人のお仕事が何か、などその様な本人をとりまく付加情報は全く意識に入ってこないのです。
何故ならば、「踊りの場所」に居る人間として、私は教えている側にいてお弟子さん方は習っている側ですが、お稽古場に入ればみんな同じなんです。
「踊りの場」に居場所があるからそこに来て、それぞれが日本舞踊を通じて自分と向き合うのです。
「踊りの場」において、その人のバックグラウンドや付加情報などそういうものでは無くて、踊っているこの人っていう、そこにアイデンティティを、私は見ているのです。
この人の背景(例えばお金持ちの奥さんだとかうんぬん)が何々だからとか、その場には全く必要のない事なんですよね。
お稽古場でご一緒する皆さんは、私も含めみんな同じなんです。
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尾上五月 オフィシャルブログより
― 普段の生活にはない「居場所」ということですね?
《五月さん談》
そうですね。そういった時間を、週に一度くらいは持つという事は、すごく大事なのかなと思います。
そこは自分だけの「場」。
家族とか何も関係ない。
会社とかも何も関係ない。
ただ、自分がそこに居るっていうアイデンティティが、持てるでしょう。
以前、私も宝塚の後に日本舞踊の世界に移る前に、自分はどこにアイデンティティを置けばいいんだろう、という時期がありました。だから、その大切さがよくわかるのです。
特に日本の社会では、女性は特に『○○さんの奥さん』『○○ちゃんのお母さん』としか認識されない悲しさがありますよね。
そんな中にいると自分を見失ってしまいがちだし、気づかないうちに自分自身どこか言葉の端々に『息子が~』とか『主人が~』って言ってしまって。
そうすると、本当のアイデンティティはそこには無くなってしまいますよね。
そうではない自分の置き場所っていうのを、みつけられたらいいんじゃないかなって思います。
一方で、男性は会社に行けば大丈夫のように言われますが、実は男性こそ、ちゃんと自分のアイデンティティを見つけていることが大事!と私は思うんですよ。
男の人は会社を離れたら何にもないし、何も出来ないという方が多いですよね。本当は男性こそが、アイデンティティを持つべきだなって思います。
そうは言っても、私の場合は、どこに行っても『宝塚の~』って言われます。
それはしょうがないですね。
見た目が宝塚ですから…(笑)
けれど、この見た目も私の一つの看板でもありますから、大切にしています。
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自分は何なのか。
ふとそんな風に感じることは、誰にでもある事ですね。
日々の生活に追われ、自分の心と向き合う時間も忘れ、まわりの環境に流されてしまいがち。
そんな誰もが持っている一面を本音で語って下さった五月先生。
パワフルなお話に背中を押され、自分と向き合うきっかけを頂きました。
◆尾上五月さん、過去の記事はこちらから↓
≫第4回 「その意気込みがキレイをつくる」
≫ 第3回 「ただ習うだけでなく。」
≫ 第2回 「伝統文化を通じ心にも磨きを。」
≫ 第1回 「伝えたい日本文化の大切さ」

